剣術に続飯付(そくひづけ)なる技があります。
諸流派の中でも馬庭念流にこの業が頻繁に出てきます。
敵の剣を交えた時、相手の剣尖と己のそれとが貼付いて離れず、
相手の焦りに乗じて勝つ術であります。
ここで云う「そくひ」とは炊いた飯を練った「のり」の事であります。
現在で云うところの接着剤、ボンドというところでしょうか。
話は先日に戻ります。
それがし、いつものように早朝稽古の支度をしている時、
誤って箪笥の上から白鞘に入れた真剣を落として仕舞いました。
それがし、普段から刀身を錆から守る為、刀装具の一種である
この鞘で保管しております。
嫌な音がしましたので恐る恐る袋から取り出してみると・・・・・(愕然)
白鞘や真っ二つに割れておりました!!!
ショック・ショック・ショックゥ~!!!!
それがしの頭脳が目まぐるしく反射作動!!
其1 濃州堂に縋りつくか・・・ダメだ時間が掛かり過ぎる、郵送がめんどい。
其2 県南の剣友Y根工房に頼むか・・・・ダメだ、日頃から何かあるとタダで遣って貰っているのでこれ以上の借りは作りたくない。
其3 不器用な自分で貼り付ける・・・・・・(無理・無理・むり)
・・・・・・・・・・・・・・・・・しゃぁない自分でやるか(面倒だなぁ~)
木工用ボンドがあるからあれでチャチャチャッと貼り合わせちゃおっと、結論が出ました。
翌日、我が部の稽古の時、この顛末を仲間に話すと、刀剣に詳しいY田氏がそれがしの無知ぶりに呆れながら、
白鞘は元々、鞘内の汚れや長年溜まった木屑等を取り除く為、簡単に割れるようになっているとの事。
木工用ボンドなどとんでもない、接着したら金輪際、割って鞘内を掃除できませんよと。
後で調べてみると木工用ボンドには酢酸が含まれており、錆のもとだそうです。
Y田氏に「そくひ」の作り方、修復工程を詳しく教えて頂き、後日挑戦することに致しました。
= つづく =
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